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君と見た空*8の2

[411]  玲唯  2010-09-19投稿


「あの公園で遊んでてリクちゃんが帰ろうとした時、あの子リクちゃんのあと追いかけて土手をあがっていったの。そしたら、車とぶつかって……」


 続きは聞かなくてもすぐ分かった。


 その子は、死んだんだ。


 その時、私の脳裏に昔の記憶が蘇った。


 *


 お母さんに連れられて、高校の近くの公園に来た。


 公園を見ると、誰かが母親と一緒に遊んでいた。


 私と同い年くらいの男の子で、私はその子と遊ぼうと近づいていった。


「ねえ、一緒に遊ぼ?」

「うん。いいよ」


 その子は笑顔でいった。


 こっちまで笑顔にさせるような、温かい笑顔で。


 私とその子はすぐに仲良くなった。


 それからよくあの公園で会うようになって、会うたびに一緒に遊んだ。


 ある日、あの子と公園で遊んでいた私は、当時習っていたピアノの稽古時間になるという理由で、遊びを途中で止めてお母さんに手を引かれながら車に乗り込んだ。


 私はもっと遊んでいたかったけど、ピアノが好きだったから駄々をこねるようなことはしなかった。


 車が発進してしばらくすると、後ろからドンって凄い音がした。


 お母さんはすぐ車を止める。


 振り向くと、私が乗っている車の数メートル後ろに1台の乗用車が止まっていた。


 遠くてよく見えなかったけど、前の方が凹んでるように見える。


「リクは車にいなさい」


 お母さんは車から降りるとしばらく帰ってこなかった。


 周りからは救急車やパトカーの音が聞こえてきたけど、当時の私には何が起こってるのか分からなかった。


 待ちくたびれた私はいつの間にか眠っていたみたいで、起きた時には家に着いていた。


 私は目をこすりながらシートから起き上がる。


 お母さんはハンドルに突っ伏していた。


「お母さん、どーしたの?」


 私がそう聞くと、お母さんは顔をあげて薄く笑った。


「……何でもないよ。さ、家に入ろ」


 お母さんの目の周りは赤くなっていて、その理由を聞いても、何でもないよって言われた。


 そしてあの時聞いた音のことを聞いても、返事は一緒だった。


 それから、あの公園には行かなくなった。


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