−−空に
見付けた。
僕は空を見上げる。空に一つ。大きな影がある。
あれが『スカイ』か、と僕は呟く。全長七十五メートルの機会の怪物は悠然と空を駆け巡っている。
人型に造られたその怪物の腕には大きなビームサーベルが、背中には機械的な翼があるのだが、今は敵と呼べる相手がいないのでサーベルの方は意味を成さない。なら何故『スカイ』と呼ばれる、巨大な機械の怪物が空を飛んでいるのかというと、新たに決まった搭乗者の試し乗りテストだからだ。ちなみに、僕はその監視役兼『スカイ』の調整役。
つい先程まで、暴走しかけた『スカイ』を追っていて、いましがたようやく見付けだしたのだ。
耳に付けたイヤホンマイクに通信が入る。
『ソラ! あと何分間飛んでいればいいの!?』
「そうだな……。もういいよ!」
『了解!』
それから『スカイ』は僕の目の前に降りてきた。
そして、コックピットから一人の少女が出てくる。名前はサフラス=クロエ。僕はケイヤ(僕の上司。同い年だ)にこの彼女の面倒を見ろと言われている。
「ソラ? どうしたの?」クロエは僕の顔を覗き込んだ。紅い色素を含んだ瞳が僕を見つめてくる。
「いや、なんでもない。クロエ、お疲れさん」
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