子供のセカイ。205
「まず、地下の青い空間について話そうか。あそこは、“青の混沌”と言う。“真セカイ”にいる、光の子供の想像エネルギーが溢れることによって作られる、“子供のセカイ”の外殻のようなものだ。
“闇の小道”が、“真セカイ”と“子供のセカイ”を結び付ける正常ルートだとすれば、“青の混沌”は異端ルートといった所だな。本来、誰かが介入していいような場所じゃない。
……と、いうより、介入できないと言った方が正しいかな。舞子様のボールが、あの空間を切り拓く鍵だ。それ以外の力は効かねぇ。もしこの力がなかったら、俺達のような光の子供の想像物は、あっという間に混沌に吸収され、消えちまう。」
ラドラスは肩をすくめて言った。警戒しつつも、黙って話を聞いている二人に対し、さらに続ける。
「まあ、もっとも、普通の想像物だったら、例えボールの力があったって無駄なんだけどな。舞子様が“子供のセカイ”の支配者になられてから、人さらいが始まっただろ?“子供のセカイ”中、あちこちの領域を回り、混沌に堪えうる、強い力のある想像物を見つけては、無理やり領域から連れ出して、ラディスパークに集結させた。それもすべて、強制労働施設につなぎ止め、“青の混沌”の中で働かせるためだ。
お前達も一度労働に出ているから、知っているだろうが、ボールをぶつけた壁からは、様々な光の子供の想像物が生み出され、襲いかかってくる。それは混沌が不当な圧力によってねじ曲げられ、反発した結果だ。囚人達はこれを倒さなきゃならない。そうしないと自分の命が守れないのはもちろん、トンネルが掘れないからな。」
ジーナが眉間にしわを寄せたまま、ゆっくりと口を開いた。
「……つまり、集められた想像達には、二つの力がいるということか。“青の混沌”に引き込まれないだけの強い存在力と、光の子供の想像物に打ち勝てるだけの戦闘力と。」
「まあ、そういうことになるな。」
しばらくラドラスは黙り、考え深げに視線を宙に漂わせている二人を眺めた。これだけのことを一気に言われ、すぐに理解できるものでもないだろう。
その時、王子が小さく手を挙げ、二人はそちらに注目した。
「一つ、聞きたいんだけど。」
ひどく強張った声だった。王子の金色の瞳は、不安に曇り、地面を見つめていた。
(気づいたか。)
ラドラスはわずかに唇の端を持ち上げて笑う。
“闇の小道”が、“真セカイ”と“子供のセカイ”を結び付ける正常ルートだとすれば、“青の混沌”は異端ルートといった所だな。本来、誰かが介入していいような場所じゃない。
……と、いうより、介入できないと言った方が正しいかな。舞子様のボールが、あの空間を切り拓く鍵だ。それ以外の力は効かねぇ。もしこの力がなかったら、俺達のような光の子供の想像物は、あっという間に混沌に吸収され、消えちまう。」
ラドラスは肩をすくめて言った。警戒しつつも、黙って話を聞いている二人に対し、さらに続ける。
「まあ、もっとも、普通の想像物だったら、例えボールの力があったって無駄なんだけどな。舞子様が“子供のセカイ”の支配者になられてから、人さらいが始まっただろ?“子供のセカイ”中、あちこちの領域を回り、混沌に堪えうる、強い力のある想像物を見つけては、無理やり領域から連れ出して、ラディスパークに集結させた。それもすべて、強制労働施設につなぎ止め、“青の混沌”の中で働かせるためだ。
お前達も一度労働に出ているから、知っているだろうが、ボールをぶつけた壁からは、様々な光の子供の想像物が生み出され、襲いかかってくる。それは混沌が不当な圧力によってねじ曲げられ、反発した結果だ。囚人達はこれを倒さなきゃならない。そうしないと自分の命が守れないのはもちろん、トンネルが掘れないからな。」
ジーナが眉間にしわを寄せたまま、ゆっくりと口を開いた。
「……つまり、集められた想像達には、二つの力がいるということか。“青の混沌”に引き込まれないだけの強い存在力と、光の子供の想像物に打ち勝てるだけの戦闘力と。」
「まあ、そういうことになるな。」
しばらくラドラスは黙り、考え深げに視線を宙に漂わせている二人を眺めた。これだけのことを一気に言われ、すぐに理解できるものでもないだろう。
その時、王子が小さく手を挙げ、二人はそちらに注目した。
「一つ、聞きたいんだけど。」
ひどく強張った声だった。王子の金色の瞳は、不安に曇り、地面を見つめていた。
(気づいたか。)
ラドラスはわずかに唇の端を持ち上げて笑う。
感想
感想はありません。