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奈央と出会えたから。<412>

[512]  麻呂  2010-09-22投稿

『奈央!!合唱コンクールの自由曲だけどさぁ、開票した結果、“大地讃頌”に決定だって!!』



『あ、ユカ。

実はあたしも“大地讃頌”って書いたんだよね♪』



『え?!奈央も?!実はあたしも。

放課後、早速練習だってさ。』



『えっ‥今日から?!』



うちの中学校では、毎年秋に、恒例の合唱コンクールがある。



課題曲は無くて、



各クラス、自由曲1曲のみなんだ。



『ピアノは、ユカに決まってるし、

指揮者は―――』



チラッッ‥‥‥



ユカとあたしは、ほぼ同時に、



斜め後方に位置する、誰かさんの席に視線を向ける。



『‥‥‥あ?!何?!俺?!』



聖人ったら、



まるで他人事だよ☆


『え〜、ただいまより、わたくし秋田谷ユカが、開票結果を、ご報告致しますッッ!!

指揮者は、北岡聖人君に決定!!

わ〜〜パチパチパチパチ!!』



ユカから開票結果を聞いた時の聖人の顔ったら――



『マジ?!何で俺?!他にやりてーヤツいるんだろ?!

ならソイツにやらせろよ。』



何か可愛いッッ♪



『だ〜めッッ。

多数決で、もう決まったのッッ。

ほら、奈央からも言ってやってよ!!』


そ、そんなコト言われても‥‥



『聖人。

みんなで、いい思い出作ろ?!』



こんなコトしか言えないよ。



聖人は、少し困ったような顔をしてた。


『ちょっと煙ってくるわ。』



あたしの言葉への返事は無かったケド、


きっと、引き受けてくれると思うんだ。


だって、この前言ってたもん。



思いっきり、楽しい2年の思い出作ろうねって。



『照れるガラか?!
ね、奈央もそう思わない?!』



『あはは。』



秋は、ちょっぴり寂しい季節。



そんな季節は、



みんなで力を合わせて何かを成し遂げたい。



そんな秋の今日この頃――

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