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欲しがる女

[682]  ピロリ  2010-09-23投稿
「私、今度結婚するの」
A子がB美に嬉しそうに伝えた。
「おめでとう!で、お相手は?」
B美は笑顔で問い掛けた。
「B美も知ってる人よ」
A子は微笑んでいる。
「私の知ってる人?もう、焦らさずに教えなさい!」
B美が問い詰めるとA子は微笑んだまま答えた。
「同じ会社のC田さんよ。」
B美の顔が凍り付いた。


A子とB美は幼なじみだ。幼稚園から就職先まで全て同じで周りからは『まるで姉妹のようね』と言われた。
A子は無邪気に「私たち大の親友なの」と公言した。
しかしB美は違った。
『あれも、あれも…元々は私の物だったのに…』 A子の持ち物を見てB美はため息をついた。
A子はB美の物をなんでも欲しがった。
鞄でも靴でも服でも全てを欲しがった。
大概の物はB美がA子から欲しいと言われて断りきれず渡していたが、「これは大事だから」と渡さずにいると数日後には必ず同じ物を自分で購入し身につけていた。
しかしそんなA子を疎ましく思う一方、可愛く思う事もありなかなか疎遠に出来ずに過ごしてきた。


「え…あの…C田さん?」
B美の声が震える。
「そうよ。C田さん」
A子の声が弾む。
「A子言っていることがわからないわ。C田さんは私と結婚前提にお付き合いしているのよ?」
B美は困惑している。
「わかってるわ。でもC田さんが欲しかったの。B美ちゃん小さい時からなんでもくれたじゃない。だからC田さんも貰ったの」
A子は微笑んでいる。
B美は怒りに震え、A子を怒鳴りつけた。
「欲しいから貰うって人は物じゃない!あなたおかしい!異常だわ!大体C田さんがあなたを好きになるはずがないわ!」

ガタっ…
隣の部屋から物音がする。
B美は嫌な予感がして戸を開けた。
そこには手足を縛られ衰弱したC田がいた。
「なんて事を…」
B美は身震いした。
その時C田がB美の後ろを見て呻いた。
B美の顔にナイフが刺さる。
「C田さんなかなか私の物にならないの。B美ちゃんの顔じゃなきゃきっとダメなの。だから…顔ちょうだい?」

顔の皮を剥がされ手足をガサガサと激しく痙攣させるB美をみてA子はぽつりと呟いた。

「うちのパパあんたのママにあげたんだからお返ししてもらって当然でしょ?」

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