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ベースボール・ラプソディ No.46

[730]  水無月密  2010-10-06投稿
 主審のコールで試合が再開されると、フィールドは一気に緊迫した空気で満たされた。

 短いサインのやり取りを終え、無造作に振りかぶって投球動作を始める八雲。
 これを目にした二塁走者の長谷川は、驚きつつもすかさず三塁をめざす。
 だが八雲は、全く意に介することなく投球動作を続けていく。

 受ける哲哉もこれを無視し、三塁に送球する素振りすらみせなかった。
 それが、哲哉のたてた戦術の一つだったからだ。


 二死である今、石塚が打てば長谷川はその瞬間にスタートがきれる。
 そうなれば二塁走者が三塁走者になったところで大差なく、盗塁を警戒するよりも打者だけに集中した方が得だと、哲哉は大胆に考えていた。

 さらにいえば、盗塁を援護するため、石塚が初球を見送るか空振りしてくれれば、ストライクカウントを一つ稼ぐことができる。


 哲哉のシナリオ通り、石塚は初球を見送った。
 さらに次のニ球目をファールしてカウントはツー・ナッシング。

 追い込んだ橘華バッテリは、迷わずに三球勝負にでた。
 対する石塚もそれを察し、バットを握る手に力が入っていた。


 全力でこいのサインにうなずくと、八雲は大きく振りかぶった。
 コースの指定はない。
 制球に自信がないという以上、哲哉としてはど真ん中にミットを構えるしかなく、ただストライクゾーンに球がきてくれることだけをを祈っていた。


 振りかぶる八雲は、大詰めをむかえた石塚との対決に、高揚する自分を感じていた。
 掛け替えのない仲間達と好敵手に恵まれた今、このフィールドに導いてくれた全ての者達に感謝の念を込め、その指先から渾身の一球を解き放つ。


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