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流狼−時の彷徨い人−No.65

[526]  水無月密  2010-10-13投稿
 しかし、皇帝の眼も万能ではなかった。
 この能力は思考で認識して判断するため、反射的な判断が要求される格闘や剣術などには不向きであった。

 伝達速度の問題さえ解決できるのであれば、全てにおいて主導権をにぎれる常勝の能力となるだけに、反射的な速さをそなえたものを水晶眼とよび、皇帝の眼とは区別して位置付けされていた。


 だがノアの知る限り、水晶眼を実現させた者は誰ひとりとしていない。
 それ故に水晶眼は幻の能力であり、所詮は机上の空論であると彼女は結論付けていた。

 その能力を、半次郎が使用したというのである


 有り得ない、そう考えるノアだったが、それを否定する思考も彼女の中には存在していた。

 皇帝の眼をもつ者は、例外なく物事の修得に秀でているという特長がある。
 だが、半次郎がオーヴを修得した速さは、その範疇を超えていた。
 半次郎の能力が皇帝の眼ではなく水晶眼だとすれば、その説明が容易につくのである。


「俄には信じ難いが、クリスタル・アイズでなければ、コヤツの尋常ではない成長速度は説明つかぬか……
 だが、何故キサマがクリスタル・アイズの事を知っている?」
 段蔵に鋭い視線をむけるノア。
 それを飄々とかわす段蔵は、黙したまま答える素振りをみせない。

「それだけではない。
 シャンバラの剣の斬撃に耐えうるのは、同じオリハルコンで造られた剣だけだ。
 その剣を、何故キサマが所持している?」
 彼女の中では、既に答えが導き出されていた。
 段蔵はシャンバラに深く関わっていると。
 そして、彼女以外で地上に干渉する人物がいるとすれば、それはハクただ一人なのである。


 しかし、不可解な点もある。
 半次郎から得た情報では、武田信玄がシャンバラの存在を確信し始めたのは、先日の第四次川中島会戦からなのである。

 だとすれば、段蔵は信玄に近づいておきながら、何の行動もおこしていないことなる。
 彼がハクの手の者だとすれば、信玄に近づいた理由がノアには理解できなかったのだ。


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