Kiss me!*1
放課後の図書室は人が多くて騒がしい。
勉強をしている私にとっては最悪な環境。
私語、飲食厳禁って張り紙がされてるのに誰一人守っていないし。
私の他に勉強をしてる人も、そう思ってるだろーなあ。
勉強してる人の身にもなってほしいなんて思うけど、そんなこと言えない。
勉強する場所を変えたいけど、どの教室も人がたくさんいてうるさそう。
ああ、勉強が手につかない。
帰ろうかな。何て考えていると、2つ隣の席に座ってる女子たちの会話が聞こえてきた。
「えー! 付き合ったその日に?!」
「早くない?」
「私何か、付き合って1ヶ月の時にだよ?」
「それは遅すぎー」
途中から聞いたから、何の話か分からないけど耳を傾ける事にした。
視線は教科書に向けて、勉強してる素振りを見せて。
「でもチュッて一瞬だったから、ちょっとガッカリ」
「最初はそんなもんじゃないの?」
「そーそー。これからだよ」
何となくだけど、話の内容が分かった。
キスの話?
テレビとか映画とかで見たことあるけど、実際キスするってどんな感じなんだろう。
今までそんなシーンを何回も見てきたのに、今さら考えるのはどうかと思う。
想像しようとしたけど、やめた。
「あと10分で、完全下校時間です。校舎内に残っている生徒は、下校するようにしてください」
校内放送が流れると、図書室にいる人たちは続々と下校を始めた。
そして誰もいなくなって図書室は静かになる。
今なら勉強はかどるのに。って心の中でぼやいて、私は戸の方に向かおうとした時だった。
机に突っ伏して寝ている男子を発見した。
あんなにうるさかったのによく寝れるなあ。
このまま放置したら起きないままだろうし、とりあえず声くらいかけておこう。
そう思って、私はその人の方に向かった。
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