携帯小説!(PC版)

声-6-

[224]  深谷恵梨香  2010-10-20投稿
急に女の子の顔がくもった。

「ごめんなさい…急にこんなの、非常識だよね…ごめんなさい…写真…返すね」

写真は俺の元に無事返ってきた。

「さよなら…」

俺に背を向け、とぼとぼと歩いていく女の子…

なんだか…あの背中…瀬奈に似ているな…
俺とけんかして悲しそうな顔をする瀬奈…いつも“もういいよ…知らない”なんて言って、あんなふうにとぼとぼ歩いてくんだよな…

“彼氏と死別しちゃって…”
あのときのあのコの顔を思いだすとなんだか胸がしめつけられた。
それと同時に俺はかけだした。女の子の後を追うために…

「おい!!」

女の子は足をとめて振り返った。

「今日だけだ!!」

「え…」

「今日1日だけ付き合ってやる!!」

女の子は一瞬きょとんとしていたが、ふいに天使のようなきれいな笑顔を向けた。

「ほんと!?やったぁ!!はやて、ありがと!!」

笑顔まで瀬奈そっくり…
瀬奈に似ているから…

だからほっとけないのかもしれない…

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