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がんばったで賞 74 〜絶賛してくれる人〜

[331]  るー6  2010-10-20投稿
「少々お待ちください。」待っている間、タクヤは小さく声に出して読んでみた。


『…あなたの声は、どんな声をしてるの?
優しい声?低い声?
私はあなたが好きなのに、あなたの声を聞くことさえ出来ない。
あなたがどんなに叫んでも、
聞こえない。
あなたがどんなに私を呼んでも、
聞こえない。
でも、私はあなたの気配がわかる。
匂いが分かる。表情が分かる。
だから幸せ。…だと言いたいんだけど、
あなたは違う人が好きなんだね。』
タクヤはこの人の世界に心を打たれた。
すると、
「あっ、連れてきました。」
アキは、きょとんとしていた。
「あ、自分は為文大学1年の斎藤タクヤと言います…。」
アキは、ノートを取り出した。
『すみません。私は、耳が聞こえません。ゆっくりお話頂くか、筆談でお願いします。名前は東条アキです。』
その文章は、今まで何人もの人に見せたのだろう。髪は少しくしゃくしゃになっていた。
「分かった。」
タクヤは、手話でアキに伝えた。
アキはノートを咄嗟にしまって、
『え?手話分かるんですか?』
「自分のお母さんが、耳が聞こえないからね。」
『そうなんですか…。それで今日はどのような?』
タクヤはアキが書いた小説を手にとって、
「この小説は、とてもいい。まるで、君の感情がそのままこっちに持ってきたみたいだよ。」
『あ、読んで頂きありがとうございます。』
「それと、もうひとつお話があるんだけど…聞いてくれるかな?」
『何でしょうか?』

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