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精神科一級

[1250]  いおり  2010-10-24投稿
二人は身体が
弱いので
生活保護で静かに暮らしていた
誰から見ても仲の良い二人だった
知り合って十年
別れ話しも何度かしたが
お互いが必要な事をそのつど
思い知る
何処に行くのも
一緒だった

ある朝男が目をさまさなかった

女は精神科の一級で かなり重症の患者だ
そんな女を男はいつも支えていた その男が起きない 寝息も聞こえない
出来るかぎりの知恵を絞り脈を計ったり心臓に耳を当てたり
身体は氷のように冷たい
女は男が死んだ事にきずいた
女は引きこもりに入った
誰にも言わず泣きながら一緒に布団の中にいた
男の腹が妊婦のように大きくなるとともに
穴と言う穴から何か出て来る
女はティッシュで 丁寧に拭きつづけた
そのうち男の腹に穴があき
内臓が出て来た
女はそれを
随分前に買ってきてたキャベツでモツ鍋を作って食べた
男が死んだ事を人に知られたくなかった
なぜなら男の親兄弟に持って行かれるのが嫌だったからだ
男の腐敗しだした場所を丁寧に取り焼いて食べる日々が続いた
誰かが名前を呼びながら家に
入ってきた
女はとっさに
包丁を持って
男の布団に入った
女は思った

これで離れ離れにさせられる
おもむろに
布団をめくられ
何人かが悲鳴を
あげた
警察らしき人間から

離れなさい

と 言われた女は自分の首を 思いっきり切り男に抱き着いた
そして女も死んだ
駆け付けたのは病院関係と警察だった
あまりにも
悲しい実話である

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