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星空が見たい 第1話?

[302]  橘 志歩  2010-10-26投稿


第1話 こころ ?


そっと階段を降りて、玄関から外に出た。

冷たい空気が入ってくる。まるで、別世界のように感じた。

家の扉を閉めると、少し勇気を出したような、何かをなしとげたような気分になった。

一歩ずつ足を前に出して行くと同時にそれは納まって行くが、だんだん別の、

自分でもわからない、少し切ない感情が込み上げてくる。

でも、楽しい。

いつも自転車で通っている商店街が、まるで誰もいないみたいに静まりかえっていた。

まるで、不思議の国のアリスだ。


家から少し離れたところで、熊よけのラジオを付けた。

鈴でも良かったのだが、さすがにずっと鳴らす訳にはいかない。

それは、これからの目的のためだった。


浜辺に着いた時、私はまた、家の扉を閉めた時のような感情になった。

今日は、昼からずっといい天気で、潮風も比較的緩やかだった。

それでも、ニットの帽子をとれば真冬並みの北風が吹き付ける。

だけど、本当の私の目的は、海を見る事じゃない。

砂浜は満潮だったので、アスファルトにピクニックシートをひいた。

少し風でめくれたが、荷物をおいて、寝そべってしまえばこっちのもんだ。

私は降るような星を眺めた。

ただ、眺めているだけでいいと思った。

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