星空が見たい 第1話?
第1話 こころ ?
「ところで、あなたはどんな方なんですか?見たところ、学生さんに見えますが?」
教師は、名前を名乗らぬまま、私に聞いた。
「高校。家は、私もすぐ近く。」
私は、なるべく情報を流さないように心がけた。
それは、パパも中学教師をやっていたからだ。
この近くには、中学校は二つしかない。
必ずしも、住んでいる場所の近くに出勤するわけではないが、
念には念を入れた。
しかし、何より、パパと同じ職業だという事に戸惑った。
そんな事には気にもとめず、こいつは、天然なのかボケなのか、かまわず話し掛けてきた。
「将来の夢とかって、あるんですか?
あぁ、でも。中高生に聞いても、シラけるだけですねぇ。」
彼は頭をかきながらそう言うと、勝手に私の隣に座り、そして勝手に私のお茶を飲んだ。
誰が了承した。
でも不思議と、嫌ではなかった。
「星がキレイですねぇ。」
36才、男性。
ちょっと図々しいっつうか、何つうか。
「あなたは、何故こんな所にお一人で?」
「別に。」
突然、質問をされて、今までよりも、冷たく返事をした。
ちょっと、まずかったかなと思って、教師を見た。
「そうですか。」
教師は、何事もなかったかのように笑って言った。
その笑顔が、たまらなく懐かしくさせた。
「夜空が、キレイですねぇ。」
優しい微笑みは、夜空に向けられた。
さっきまで、イヤミな感じがイライラしたのに、何だか心地がいいような気がする。
「結構、いいもんですね。」
「何が?」
彼には、何だか惹かれるものでもあるのだれうか?
「ピチピチの女子高生とこうやって並ぶって言うのも。」
前言撤回だ。
こいつはただの、変態教師である。
「どけ!!私は帰る!!」
言うまでもなく、私はさっさと片付けて帰った。
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