「俺達、別れよう」
「そうだね…」

私は、涙を流さないように必死で彼を見た。
彼は、静かに背を向けて歩き出した。我慢していた涙腺はそれと同時に糸が切れたように緩んだ。
こんな終わり方を望んだわけじゃないんだよ、こんな終わり方にするわけじゃなかったよ。
ただ、こうすることしか今の私たちには出来ないから。
きっと、もう少し大人になって付き合っていたなら私達は違う形を作れたよね。
ただ、私達は今会うべきで今別れるべき出逢いだったんだよね。
ただ、側にいたかった。
涙は止まらない。
でも、あなたが一度も振り返らない事は知っていた。
あなたが一度でも振り返ってくれるなら、全ては変わるのに。
それさえも許されない。
だから今言おう。
「ありがとう」
それだけは伝えたい。

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