どこにいても、12
「吉岡!」
「…」
「吉岡なに話って?」
「……」
「…吉岡?」
「ばいばい…」
自分の傍にいた吉岡の姿が消えていく。
「吉岡!!」
自分の声で目が覚めた。
何だったんだあの夢は…吉岡がいなくなる夢なんて最悪だ。
時計を見るとまだ11時。
親が飲み会で出掛けて何もすることがなくてそのまま寝てしまったのか..
コンッ
音のする方に体を向けると窓に吉岡がいた。
僕は急いで窓を開けた。
「…ごめん夜遅くに、て、え?」
僕は吉岡を抱きしめた。
良かった…抱きしめられる
「…夢を見たんだ。吉岡がいなくなる夢を。でも良かった、ちゃんといるんだね」
大輝の全てが暖かだった。ずっとこうしていたかった、…でも決めたんだ。大輝と一緒に生きるって。
例え同じ明日を見るのが吉岡花歩じゃなかったとしても。
「…吉岡?」
吉岡は泣いていた。
「どうしたんだよ?」
「大輝。私のこと好き?」
「…なに言ってんだよ。大好きだよ、」
「よかった…」
「え?」
「この『私』は大輝と私の想いだから」
吉岡は大粒の涙をこぼした。
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