どこにいても、15
僕は自室のベッドに座っていた。
ただ何もせずに座っていた。
することなんて何もなかった。涙はもうでなくなったしどれだけ叫んでも吉岡はもういない。でも事実として受け入れたくなかった。何もしたくなかった、悲しむことさえも。
学校は休んで親は仕事に行った。もう何も考えたくなかった、
部屋のドアを叩く音がした
「…あいてるよ」
そこには松村がいた
「インターホン押したけど返事がなかったから」
松村が気まずそうに言う
「ごめん、気がつかなかった」
「……」
「吉岡はもういないよ」
「知ってる。…あたしのとこにもきたから」
「ああ。お別れ言ってきたって言ってたよ」
「…」
長い沈黙が僕らを包む。
「花歩、私達にだけあの幻の時間の記憶残したみたい。」
記憶なんて消してほしかった。残ってても大好きな吉岡はもういないのに―\r
「花歩はさ、もう一度」
「…もうどうでもいいよ、吉岡はどこかに行ったんだ。僕を置き去りにして手の届かないところに」
「…」
「ごめん、独りにさせて―」
バシッ
乾いた音が室内に響いたと同時に自分の頬に痛みが感じた。
その痛みがここが現実なんだと知らされた。
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