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JACK THE LANTERN

[1007]  野守樹  2010-11-10投稿
ちょっと重い大きなカボチャをぶら下げてぼくは歩く。ハロウィンの夜はまだ来ない。カボチャ、カボチャ、素敵なランプを造るんだ。じゃっく・ざ・らんたん。

家について、カボチャに包丁を突き立てる。ピッ、と服にシミがつく。
ざくざくざく、ぐりぐりぐりん。中身はスープにしよう。鍋を火にかけて骨をほうり込む。
開け離した窓の外。あちこちから子供たちの歓声。みんなカボチャをとってきたんだね。でもぼくのが一番。じゃっく・ざ・らんたん♪

「Trick or Treat♪お菓子をくれなきゃいたずらするぞ♪」

蝋燭の火を点して出来上がり。

鍋にはグツグツ美味しいスープ。煮込んじゃえばみんななくなる溶ろけて鍋のなか♪
カーテンで作った、黒いマントを被って家から飛び出す。夕暮れの道を鎌を振り回して歩く。
悪い子供はクリスマスにお仕置きされる。
悪い大人はハロウィンにお仕置きされる。

それがハロウィン。

「Trick おあ Treat!」

お菓子をくれても悪戯するよ!
いつの間にか道いっぱいに友達がいっぱい。みんな鎌を振り回してる。

赤い飛沫が舞う。

隣の家の大きな庭。花いっぱいの綺麗な庭。花をぶちぶち引っこ抜いて、みんなで作ったカボチャ畑。
土まみれになって笑いながら。
悪い大人はジャック・ザ・ランタン。隣のマリアはいつも泣いてた。見えるところに見えないところに傷が一杯ついていた。
彼女のママとパパがした悪い事。

彼女を好きなジョンとみんなとぼく、スコップ使って作ったひろいカボチャ畑。君はヒーローなんだから。ぼくはジョンにそう言った。ジョンが埋めたマリアのパパとママ。ぼくが埋めたぼくのパパとママ。ぼくらにお菓子をくれないパパとママたち!悪戯ばかりの悪い大人!

土から首がにょっきり。やったね、おっきなカボチャが実った。

マリアが鎌を持っている。マリアのパパとママが叫んでる。うるさいなあ!だからじゃっくざらんたん!
子供だけの街
毎日がハロウィン♪
子供だけの街
サンタはいない♪
お菓子をくれなきゃ悪戯するよ

僕らは歌いながら行進する。手にはランタンパパの頭。手にはランタンママの頭。

赤い夕暮れ赤い道。並んで歩く子供たち
大人になれなかった中年男は笑顔で先頭を歩く。

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