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アンチモン・2

[230]  2010-11-10投稿
枕元に置いてある目覚まし時計を手とって時刻をみた。
(5時48分…)
また、起きるには早いかな…。
首だけ動かして、隣に寝ている息子の京の顔をみた。
よく眠っている。
(…フウ…。)ため息をつきながら、天井を見つめる…。

ここに住んでから、
半年たった。

少しは、落ち着いてきたと思う。

夫、晋太郎のところに置いてきたもう1人の息子・みくりはどうしてるだろうか。京の1つ上で、いま五歳…。(そういえばお姑さんが幼稚園にいれたがってたな…。)
途中入園で、いれるかも…とだいぶ前に晋太郎に会った時話していた気がする。
(おかしいの。パパっこの、みくりが夢にでてこないで京だけ登場してるなんて)
…さっきみた夢を思い出してみる。

(あいつが謝るなんて…。本当に夢のまた夢って感じ。)
大体…そんな反省できる性格の夫であれば別れてないよねぇ…と・心の中で毒づいた。
(もともとは、あいつが……。)
何度も、繰り返し思い出してしまう今年の冬のことを、また思い出していた。


「…ねぇ〜!それは、おかしくない?」
強い口調で、指摘された。
同じ職場で働く、10歳上の先輩・美奈だ。
「最近、旦那の帰りが決まって月曜日遅いんです。ほとんど毎日が夜中の12時1時なんですが・月曜日は3時とか…。この間は朝方5時すぎてて…。」
そう、彩子が愚痴まじりの相談を美奈にした時のことだ。
「…旦那、おかしいよ。浮気かもしれないよ。携帯みてみなよ〜!」
(え…?携帯…?) 「さすがに、それは…。仕事も不動産ですし、時間は働いてる社員さんはみんなそれぐらい遅いみたいだし…。」
「そんな頑張って、働いてるのに・家にお金いれてないんでしょ?…おかしいからっ。」
ガンガンと、間髪いれずにまくしたてられて・彩子は内心ゲッソリしていた。
…単に、「大変ねー」と言ってもらいたかっただけなのに…。
確かに、我が家は家族というより・まるで同居人が暮らしているかのような生活だ。
私が日中は倉庫で働いて、夜は居酒屋…と掛け持ちパートしながら生計をたてている。
夫の晋太郎は、不動産会社のサラリーマン。安い月給であるが、…そういえば、同僚のナントカ?さんって人はそれで奥さんと子供を養ってるとも・前にちらっと聞いたっけ…。

「絶ーっ対っ!変だから!」
美奈が、また繰り返した。

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