どこにいても、17
「吉岡…?」
姿も見えないし、返事もない。でもそれは間違いなく吉岡だった。
「どこにいるの!?姿を見せて!返事してよ!」
部屋の外から漏れてくる声が止まる。松村は僕が正気を失ったかと思うかもしれない。でも吉岡に会えるならそんなことどうでもよかった。
「吉岡!どこにいるの!迎えにきてくれたんだろ!今すぐそこにいくよ!!」
文字どおり狂った僕を何かが優しく包み込んだ。
吉岡だ。でも姿は見えなかった。
手を伸ばそうとしても動けないことに気づき、声も出せなかった。僕は吉岡にただ包み込まれてた。
僕の唇が柔らかな感触で塞がれ、手の中に何か渡された。そこで吉岡の気配が消えた。
手の中にはあの時とった写真があった。
「ずるいよこんなの…」
僕は写真を投げ捨てようかと思った。でもできるはずなかった。吉岡がそばにいた証のものなのだから
―大輝、信じてるよ。待っててね
吉岡の声が聞こえたようなきがした。
吉岡が僕が死ぬことも狂うことも許してくれないなら。
生きていくしかない。
でもどうやって?
何もわからない
僕の隣に吉岡はいないのに―。
「吉岡…ずるいよ、」
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