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天使のすむ湖46  

[332]  雪美  2006-09-04投稿
桜井が帰ってから、俺は香里を二階の浴室に誘った。
最近は好きだった入浴も嫌がることが多くなり、脳腫瘍による微熱もあることから、体がだるいのだろう。
「こういうときこそ入ろう、俺が香里の体を洗うからさー」
手を引いて、すばやく脱がした。
「もう強引なんだからー」
少し怒り気味に言ったが、しかしまんざらでもなさそうだった。
浴室からは、大きな窓から瑠璃色の湖が見えて、中からみえるマジックミラーになっている。二人は入れる大きめのジャグジーバスに、彼女の好きな色とりどりのバラの花びらを浮かべていた。香里を喜ばせようとこっそりと裏の温室から花を調達し支度をしといたのだ。
「わぁ〜綺麗ねーこんなのはじめてよー」
さっきまで乗り気じゃなかったのに、香里の目が輝いていた。
「入りたくなった?」
光るような笑顔で
「うん、これなら入りたいわ〜」
と答えた。
ジャグジーのスイッチを入れると、浴槽の中でバラの花びらが踊っていた。
チャイコフスキーの花のワルツを思い出させるような、浴槽に静かに香里は身を沈めた。
「最高の気分よ〜」
そう言って花びらを何度も両手ですくい上げていた。美しい香里がなおいっそう引き立っていた。
湯温も、少し低めにしていた。
飽きた頃に、体を泡をつけて洗うと、香里の少し細くなったうなじが印象的だった。
もう体力は落ちているから、長湯は出来ないし、のぼせないように細心の注意を払いながら、花びらを見たり、湖を見たりしていた。
夕日がだんだんと湖を染める頃、俺たちは浴室を出ることにした。
「素敵な演出をありがとう。こんなに感激したのははじめてよー」
頬が桜色に染まり、俺は香里の髪を拭きながら
「いいえ〜どういたしまして、その笑顔が見られてよかったよ。」
と俺は答えた。
二人でおそろいの色違いのバスローブに身を包み、よく乾いてから、香里はネグリジェに着替えて、俺はパジャマに着替えベットで早めに休むことにした。
出会った頃のように、激しく交わるわけには行かない体になっていた。それでも俺は十分幸せをかみ締めていた。
肉体関係だけが結びつきじゃない、二人の心はあの頃よりずっと深い絆で結ばれていた。

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