続いた世界のある結末(5)
沈黙が辺りを包んだ頃、翅は言った。
「君はさ、生きたいように生きればいいよ」
「何で…そんなこと言うの…」
言わないで。僕は
「君も私もここ数年、必死に呪いを解くためにあちこち旅をしてきたよね」
翅さんは遠くを見ている。夕日が沈みかける暗い山を。
「きっと駄目なんだよね。方法なんてないんだ。…世界はさ、私達の為にある訳じゃないんだよ」
「…諦めるっていってるのか」
「…うん。だからさ」
もうその先は聞きたくなかった。
「会ってない術師なんて何千といる! 可能性はないわけじゃない!…どうして、どうして今そんなこと言うんだ…」
「君が好きだから」
呼吸をするようにゆっくりと彼女は言った。
「翅」
そして泣きそうな顔をした。寒いのか体を擦っている。
「苦しませたくない。このまま私の心が死ぬまで苦しんで、体が死ぬまで私の面倒を看させて。」
「そんなの…悲しすぎるでしょ」
「君と一緒にいても、君が君だと分からない…。君が私の亡骸を慈しんでも、それは私じゃない!もうそこに私はいないの…」
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