それからカズヒロは、部活帰りに、ヒロが働いている喫茶店に、アキ、サユ、ユウタが集まっているということで、そこへ向かった。
「あ、カズヒロ。」
ヒロがみんないる席へ案内してくれた。
「…ごめん。部活帰りに。」
「いや…。」
やっぱり話題は、アキへのいじめのこと。
「アキ…。」
アキは、既に涙ぐんでいた。
『何で私だけ…。』
独り言…。いやしかし、手話を使っていた。
カズヒロは、
「あ、あのさ…聞いてほしいことがある。」
みんなが静まり返った。
「本当の黒幕は、アズサじゃないんだ。」
「えっ…？どういうこと？」
カズヒロの発言に、戸惑いを隠せないサユ達。
「アズサは、柴山先生からお金をもらってアキをいじめてたらしい…。だから本当の黒幕は柴山先生なんだ…。」
みんな…黙り込んでしまった。
「でもアズサは、ただお金をもらいたくていじめてるのではなくて、アズサの親が柴山に借金してて…、アズサが柴山先生の言うことを聞かないと、アズサの家が差し押えられるんだって…。」
「そんな…じゃあアズサは、従うしかないってこと？」
ヒロが尋ねる。カズヒロは小さくうなずいた。
「アキ…。」
カズヒロはアキに近づいた。
「分かってほしい。本当の黒幕は、アズサじゃないってことを…。」
みんなの視線がアキに注がれた。

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