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sound of you 33

[320]  フラン子  2010-12-25投稿
「ハハッ、いきなり何?」

ミツルが私を見て笑った。
目尻が少し下がり、口の端が片方だけ上がる。



『私はこの笑顔が好きだ』

そのとき、はっきり私の心はそう言った。


私はますます恥ずかしくなり、持っていた眼鏡を慌ててミツルの顔にかける。


もとの綾川くんに戻った。
でも私の心臓の早さはもとに戻らない。

「…っ、びっくりした。」

と綾川くんは眼鏡を耳にかけなおしている。

「あは、ごめん!」

再び歩きだす私たち。

なぜか沈黙が続く中、すぐにバス停に着いた。

「………あのさ」

沈黙を破ったのは綾川くんだった。

「俺がDJしてること、…誰にも言わないでほしい。先生にバレたらヤバいから。」

「分かった。言わない。」

私は端から誰にも言うつもりはなかった。最初から私だけの秘密にしておくつもりだった。

ちょうどバスがこちらに向かってきた。

「じゃ、また明日。」

「うん。」

私はバスに乗り込み、後ろの席から外の綾川くんを見下ろす。


すると綾川くんはわざと眼鏡を外し、ニカッと笑って、手を振ってくれた。

バスが発車する。

私はしばらく一人赤面しながらバスに揺られた。

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