sound of you 41
……好きだ
好き、好き、綾川くんが…好き。
涙がジワっと滲み出る。
メイクが落ちちゃう…。
すでに曲も何曲目かわからない。
私は涙を我慢できなくなって、トイレに行くフリをしてロフトを下りた。
防音扉を開けて外へ出ようとすると、知らない男に声をかけられる。
「もう出んの〜?もうすぐカウントダウン始まるよ〜?…一緒にしようぜ〜!」
と肩に手を置かれる。
私はゾワゾワっと悪寒がした。
男からはアルコールの臭いがプンプンする。
「ちょっと…やめっ」
私が肩から男の手を離そうとすると、会場内が真っ暗になった。
ステージ上のスクリーンにカウントダウンの数字が大きく浮かび上がる。
「ほらぁ〜、始まったよ〜」
男は私の腕をひっぱりフロアに連れて行こうとする。
MCの人が大きな声でカウントダウンを始めた。
会場のみんなもそれに合わせてカウントダウンを始める。
私の腕は酔った男に掴まれままで、離してくれない。
『…7!6!5!…』
もう無理…
我慢していた涙が溢れてきた。
そのとき、私のもう片方の腕を誰かがグッと掴み、そのまま引っ張られた。
『……1!』
それと同時に防音扉が開き、外へ連れ出される。
感想
感想はありません。
「 フラン子 」の携帯小説
- sound of you 63
- sound of you 62
- sound of you 61
- sound of you 60
- sound of you 59
- sound of you 58
- sound of you 57