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sound of you 44

[328]  フラン子  2010-12-26投稿
「よかったっすよ。ヤスさんから借りたマスク、ウケました。」

綾川くんが親しげにマスターと話す。どうやらこのマスターが『ヤスさん』みたいだ。坊主頭に肩耳だけピアスをしていて、30代前半くらいだ。

綾川くんはダウンのポケットからマスクを取り出し、ヤスさんへ渡す。

「ヤスさん。BGM消えてるよ。」

綾川くんが言うと、

「ホントだ、奥でN○Kの紅白見てたから気づかなかった。」

ヤスさんはそう言いながらカウンターの奥へ行った。

さっきから少し置いてきぼりだった私に気づき、綾川くんが椅子に座るよう促してくれる。

少しすると、スピーカーからJAZZのメロディーが流れだす。

…路地に流れてたJAZZはこの店か…。

一人で納得していると、奥からヤスさんが戻ってきた。

「ん?あれ?お嬢さん、マサの彼女かと思ってた!」

ヤスさんは私の顔をマジマジと見てきた。

「姉妹揃って美人だね。」

お姉ちゃんも来たことあるバーだと知り、さっきより居心地が良くなった。

「何か飲む?」

綾川くんが聞いてきた。

「温かいのがあれば…」

私がそう答えると、

「じゃあホットココアとホットコーヒー。」

綾川くんがヤスさんに注文した。

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