今しかない。 前編
今だ。今しか、チャンスはない。
私は、心の中で、半ばパニックに陥った頭の中でそんなことを呟く。
目の前には、二人の男子。何を話すこともなく、ゆっくりと歩いている。
ぽつぽつと会話を交わす二人の背中を見つめながら、とくとくと鼓動は早くなっていく。
−−−約2週間ほど前。
誰に言うわけでもなく、私は決心した。
再来週の木曜日。私が引っ越すその日までに、二人きりで一緒に帰れたのならば……
告白する、と。
しあさっては、木曜日。もう、時間がないという焦りと同時に、とてつもない不安が、何度も襲い掛かってくる。
この2週間、何度も挑もうとした。
電話?手紙?呼び出し?
全部、勇気が足りなかった。
一緒に帰れたのならば、なんて言いながら。
どうせ帰れないからと、勝手に諦めていた。
部活の帰り。目の前には、愛しい彼と、部長。
予定とは違う。
―――今しかない。
彼が道を曲がる瞬間、私は呼び止めた。
「あ、ねえ! 桐山。ちょっと、話せる?」
その言葉に、彼は道路の真ん中で、ぴたりと足を止めて、振り向いた。
はじめは部長が悩むようにその場にいたが、すぐに帰っていった。
「何?」
そこまで綺麗じゃない君の声に現実に引き戻され、心拍数があがる。
「あの、えっと、その……」
言わなきゃいけない言葉は分かっている。
けれど、口から飛び出すのは、「えっと」とか「その」だけだった。
「その、何?」
とぼけるように君が言う。
私の気持ちが、伝わらないのかと、恨めしそうに君の目を見た。
「ここなんか危ないから」なんて君が言うから、歩道の端に寄った。
恥ずかしさで爆発しそうで、なんども顔をジャージで覆う。
戻れない。分かってたから、決心して、言った。
「好、き、で、す!」
半ば無理矢理に、まるで彼が言わせたみたいに、拗ねたような口調で、私はついにその言葉を言った。
……続く。
私は、心の中で、半ばパニックに陥った頭の中でそんなことを呟く。
目の前には、二人の男子。何を話すこともなく、ゆっくりと歩いている。
ぽつぽつと会話を交わす二人の背中を見つめながら、とくとくと鼓動は早くなっていく。
−−−約2週間ほど前。
誰に言うわけでもなく、私は決心した。
再来週の木曜日。私が引っ越すその日までに、二人きりで一緒に帰れたのならば……
告白する、と。
しあさっては、木曜日。もう、時間がないという焦りと同時に、とてつもない不安が、何度も襲い掛かってくる。
この2週間、何度も挑もうとした。
電話?手紙?呼び出し?
全部、勇気が足りなかった。
一緒に帰れたのならば、なんて言いながら。
どうせ帰れないからと、勝手に諦めていた。
部活の帰り。目の前には、愛しい彼と、部長。
予定とは違う。
―――今しかない。
彼が道を曲がる瞬間、私は呼び止めた。
「あ、ねえ! 桐山。ちょっと、話せる?」
その言葉に、彼は道路の真ん中で、ぴたりと足を止めて、振り向いた。
はじめは部長が悩むようにその場にいたが、すぐに帰っていった。
「何?」
そこまで綺麗じゃない君の声に現実に引き戻され、心拍数があがる。
「あの、えっと、その……」
言わなきゃいけない言葉は分かっている。
けれど、口から飛び出すのは、「えっと」とか「その」だけだった。
「その、何?」
とぼけるように君が言う。
私の気持ちが、伝わらないのかと、恨めしそうに君の目を見た。
「ここなんか危ないから」なんて君が言うから、歩道の端に寄った。
恥ずかしさで爆発しそうで、なんども顔をジャージで覆う。
戻れない。分かってたから、決心して、言った。
「好、き、で、す!」
半ば無理矢理に、まるで彼が言わせたみたいに、拗ねたような口調で、私はついにその言葉を言った。
……続く。
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