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今しかない。 前編

[370]  2010-12-28投稿
今だ。今しか、チャンスはない。
私は、心の中で、半ばパニックに陥った頭の中でそんなことを呟く。

目の前には、二人の男子。何を話すこともなく、ゆっくりと歩いている。

ぽつぽつと会話を交わす二人の背中を見つめながら、とくとくと鼓動は早くなっていく。


−−−約2週間ほど前。

誰に言うわけでもなく、私は決心した。


再来週の木曜日。私が引っ越すその日までに、二人きりで一緒に帰れたのならば……



告白する、と。


しあさっては、木曜日。もう、時間がないという焦りと同時に、とてつもない不安が、何度も襲い掛かってくる。


この2週間、何度も挑もうとした。

電話?手紙?呼び出し?

全部、勇気が足りなかった。
一緒に帰れたのならば、なんて言いながら。
どうせ帰れないからと、勝手に諦めていた。

部活の帰り。目の前には、愛しい彼と、部長。

予定とは違う。


―――今しかない。

彼が道を曲がる瞬間、私は呼び止めた。


「あ、ねえ! 桐山。ちょっと、話せる?」
その言葉に、彼は道路の真ん中で、ぴたりと足を止めて、振り向いた。

はじめは部長が悩むようにその場にいたが、すぐに帰っていった。

「何?」

そこまで綺麗じゃない君の声に現実に引き戻され、心拍数があがる。

「あの、えっと、その……」


言わなきゃいけない言葉は分かっている。
けれど、口から飛び出すのは、「えっと」とか「その」だけだった。

「その、何?」


とぼけるように君が言う。
私の気持ちが、伝わらないのかと、恨めしそうに君の目を見た。
「ここなんか危ないから」なんて君が言うから、歩道の端に寄った。

恥ずかしさで爆発しそうで、なんども顔をジャージで覆う。
戻れない。分かってたから、決心して、言った。


「好、き、で、す!」

半ば無理矢理に、まるで彼が言わせたみたいに、拗ねたような口調で、私はついにその言葉を言った。


……続く。

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