夢跡†(7)
…そうだ。あれはジョークだと彼女に伝えねば。
「…あれは冗談だし、謝らなくてもいいよ」
すると、何か言いたそうな顔をする。
(あ、そっか)
「さっき言いそびれた…というか、言えなかったんだが、俺は自殺志願者じゃないぞ」
「えっ?じゃあ…ええっと…?」
「俺は自殺しようとしていたんじゃない」
「…ホントに?」
「ホントに」
少女はその途端、ふにゃっとその場に崩れた。
「はあっ…、良かった…。良かった…」
(…!なんだよ…、人が勝手に死ぬくらいでここまで感情移入しやがって…。
しかも知り合いでもないらしいのに…)
視線を少女に戻すと、既に半泣きしている。
立ち去ろうにも、この状態の彼女を放って行くのは、いささか冷たすぎるか。
どのタイミングで帰ろうかなどと考えていると、
ふとあの男子生徒の事が思考を過った。
伝えておくべきだろう。そもそも、彼女が用があったのは、アイツなのだから。
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