Kiss me!*11
次の日。私はナナミとの待ち合わせ場所に向かった。
時間ぴったりに到着して、ナナミを探す。
でもナナミの姿は見あたらない。まだ着てないんだ。
小さくため息をついたとき、後ろから私を呼ぶ声がした。
振り向くとそこにはナナミとマサトとケイタがいた。
何でマサトとケイタがいるの?!
「さっき2人とばったり合ってさー。だから4人で遊び行こーよ!」
「Wデートってやつだな!」
「で、デート?!」
何がデートなの。
私とケイタは付き合ってないし!
私はナナミのそばに寄って小さな声で言った。
「ねえ、やっぱ私たち2人で行こうよ」
「え、なんで?」
「だって最初はそういうことだったじゃん」
「もしかしてユキ、ケイタくんと遊ぶの恥ずかしがってるの?」
「なわけないじゃん! 嫌なの。ただ単に」
「いいじゃん別に。これを期に、ケイタくんの印象変わるかもよ?」
「え、いや、でも───」
「よし、行きますか!」
私の話を無視してナナミはそう促すと、マサトと腕を組んで歩き出した。
帰っちゃおうかな、なんて思った。
私がいたらナナミとマサトの邪魔しちゃいそうだし。
急な体調不良ってことで帰ろう。
私はナナミたちに背を向けて歩き出した。
その時、後ろから誰かに腕を掴まれた。
私は足を止めて振り返る。
私の腕を掴んでいたのはケイタだった。
「行こ?」
「行かない」
私が首を横に振ると、ケイタは私の腕から手を離して、私の手を握った。
「いいから、行こ!」
そう言ってケイタは走り出した。
その時見せた笑顔に、私はなぜかドキッとしてしまった。
私は下を向いて、ケイタに手を引かれるままに走る。
ナナミとマサトに追いついても、ケイタは私の手を握ったままだった。
「なーんだ。やっぱりそーかあ」
ナナミはニッと笑って、繋がれた私たちの手を見る。
私は慌ててその手を振り払って、背中に手を回した。
「ち、違うよ!」
そう言ったけど、ナナミは笑みを浮かべたまま顔を前に向けた。
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