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・・ 空 ・・第3話「逃走」

[340]  ほち  2006-09-07投稿

「貴方が助けてくれたの??」
「えっ!?あぁ」
「こいつの名前は空牙だよ」

いつの間にかお茶を入れ、戻って来た青海が空牙の頭を軽く叩きながら少女に言った。青海は空牙にお茶を渡して椅子に座った。

「所で君の名前は??」
「・・雛姫(ヒナキ)」
「雛姫はどうして海に??」

空牙を黙って2人の会話に耳を傾けた。

「・・海の底に沈めばやっと解放されると思ったの」
「えっ!!??」
「船から海に飛込んだの。そこまでしか覚えて無いわ」
「どうして・・」
「ミケルの首都セイバーを知ってる??」
「当たり前だろ」
「ぁたしは・・」
「何の音だっ!!??」

空牙の一言で3人は黙り込み、耳をすました。微かに遠くから何かの音が聞こえる。


「・・来たんだ」
「えっ!!??」
「奴らが来たっ!!」

雛姫は青ざめた顔をしてガタガタと振るえている。

「奴ら??・・とりあえず俺が様子を見てくる」
「駄目っ!!行っちゃ駄目っ!!無駄よっ!!殺されるだけだわ」

いきなり空牙がソファーから立ち上がった。

「殺される??何だよそれ??・・ここは俺らの島だっ!!俺らが島を守る。なら、よそ者は今の内に消えろよっ!!」

空牙は診療所から飛び出し、音の聞こえる方へと走って行った。

「空牙の事は気にするな。君はここで安静にしてなさい」

そう告げると、青海も診療所から飛び出して行った。雛姫はソファーに座ったままジッとしていた。

「無駄なんだね・・逃げても逃げても奴らはぁたしを追って来る。どうして・・??」

雛姫の瞳からは涙が溢れた。

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