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sound of you 57

[440] フラン子 2011-01-10投稿
私は突然の出来事に驚き硬直する。

綾川くんが手を握ってる。

ここはバス停で他にも生徒がぞろぞろと集まってきてる。

私たち二人の繋いでいる手はみんなに見えない位置にある。

心臓が手に移動したみたいに、血流が早くなった。


「ど、どうしたの?」

私が聞くと、綾川くんは答えずにさらに強く手を握った。

しばらくすると「ごめんね」と言って手を離された。
ちょっと名残惜しかった。

「俺今からヤスさんとこにレコード借りに行くけど一緒に来ない?」

思わぬ誘いに心が踊った。さっきまでのドロドロした感情はもうなくなっていた。

「………行く」

「じゃ、バスじゃなくて電車だから。行こ。」

そう言って立ち上がった綾川くんの後ろを付いていく。

バス停で待っている生徒たちの間を通ると、

「あの二人カップル?」
「お似合いじゃない?」

一年生らしき女子生徒たちがコソコソ話しているのが聞こえた。

私は嬉しくて顔が赤くなったのを隠すように歩く。

綾川くんにも聞こえたはずなんだけど、前を向いてて表情が分からない。


……いやじゃ、ないよね?少しは私も期待していいよね?

そんなことを考えながら駅まで歩いた。



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