話を聞いて。
ガタンッ、バタバタッ!
大きな音をたてて、アイツはゴミ箱を倒しながら尻餅をついた。
……今、私とアイツ以外に誰もいない教室で、私がアイツを突き飛ばしたからだ。
大きな音に驚いたであろう同級生や先生たちが、次々と私たちのいる教室に押しかけ、アイツの周りに集まった。
「大丈夫?怪我ない?」
「…うえ〜ん。あの子が押してきたぁ。痛かったよぉ」
優しい声をかけられた途端、アイツは泣き出す。
すると、正義感の強そうな男教師がツカツカと歩いてきて、思いきり私の頬をぶった。
「あの子はクラスの友達だろうが!!何てことをしてるんだ、お前は!」
「先生、私は…」
「言い訳をするな!今すぐ指導室に来い!」
私の話なんて聞こうともせず、教師は私の手首を掴む。
周囲の野次馬が、口々に私を非難しているのが聞こえずともわかった。
ねぇ、ちゃんと聞いてよ先生。
掴んだ私の手首にたくさんの切り傷があるでしょう。
私の背後にある私の机に、沢山死ねって書いてあるでしょう。
私のカオに、擦り傷と青いアザがあるでしょう。
私の服はところどころ引きちぎられてて、ボロボロでしょう。
みんな、みんなアイツがやったのよ。
そこの人たちが心配してる中で、密かに笑ってるアイツがやったのよ。
どうして聞いてくれないの。
どうして言い訳だとしか考えてくれないの。
どうしてそんなに一方的なの。
人間はみんな平等なんて、誰が言い出したの?
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