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宇宙戦隊・4

[422]  豆宮  2006-09-07投稿
吐き気と共に、コウは目を開けた。真っ暗な世界が徐々に形を変え、見慣れた天井と蛍光灯へと変化する。
今の映像は一体何だったのか?コウには今の映像が夢の中で見たものじゃないことは分かっていた。コウの脳は確実に起きていたし、今の映像はまるでテレビの映像のように鮮明にコウの眼球を侵していた。
脳の腫瘍の影響だろうか、とコウは自身を皮肉って苦笑した。

「コウちゃぁん、たぁだいまぁぁ〜」

場の静寂を破る、間の抜けた声。
コウは溜め息をついて下の階へと下りた。
案の定、玄関に酷く酔っ払った女が転がっている。紛れもなく、自分の母だ。
「コウちゃぁん、ママ偉いでしょっっ今日は早く帰ってきたのぉ〜」
「うん。」
適当に返事をしてコウは足元のおぼつかない母に肩を貸し、ソファーへと座らせた。
「水飲む?」
「いぇ〜す!!」
両手でピースを作り、真っ赤にむくんだ顔で笑顔を作る母。その無邪気さはいつまで経っても子供のようだ。
「今日は石田さんの所には行かなかったの」
「喧嘩しちゃったなりぃ〜」
「…早く仲直りしなよ」
心にも無い事を言って水を注ぐ。流れる水に、さっき見た流れ星の姿を重ねた。
水を飲ませ、再び母に肩を貸してベッドまで運ぶ。
「ママと一緒に寝よぉよぉ〜」
「嫌だよ」
「ちっちゃいころはいっぱい一緒に寝たじゃないの!!寂しいぃよぉぉ〜…」
だるそうにベッドに転がる母の姿が芋虫に見えてコウはまた吐き気を覚えた。

「…明日も仕事なの?」

「んー…」

「…頑張ってね」

「…んー」

「母さん…」

「……ん」

「俺もうすぐ死ぬんだって」

「……」


いつの間にか母は枕を抱き締めて眠りにおちていた。
コウは母に布団をかけて部屋へと戻った。


もう窓から流れ星は見えなかった。

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