ディフェンド
序章
雨の中、小さな少年は歩き続けていた。
傘もささずに、ボロボロの服で。
もう何日もまともなものを食べていなく、少年の体力は限界だった。
───「ケイゴ、お腹空いたでしょう? ご飯にしましょう」
お腹が空く時間帯になると、母はそう優しく声をかけてくれた。
でも、今は母はいない。
父もなく、帰る家もない。
「とう、さん……かあさん……」
朦朧とする意識の中で、少年はそう呟くとその場に倒れ込んだ。
冷たい雨が、少年の小さな体を打ちつける。
(このまま、死ぬんだ……)
目を閉じながら、少年はそう思った。
でもそれでいい。
これで父と母のもとに行けるのだから。
「おい、坊主」
頭の上から、そんな言葉を投げかけられた。
女の声、だろうか。
「立て」
立てる力なんて、少年には残っていない。
するとその声の主は小さく舌打ちをして、少年を抱きかかえた。
(母さん?)
その時の手の温もりが、母のものとよく似ていた。
「死ぬなよ、坊主」
「……かあ、さ、ん───」
呟いて、少年の意識は途切れた。
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前にディフェンドを
書いていた梓です
今回
ディフェンドを
リメイクしたくて
また投稿しました
前作のディフェンドも 読んでいただけると
嬉しいです
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