奈央と出会えたから。<420>再
『本日は、我が校の、秋の恒例行事であります合唱コンクールに、
たくさんの御来賓の皆様にお越し頂きまして、誠にありがとうございます。
さて、本日こちらのホールをお借りしての開催と致しました事は、
我が校創立以来、初めての試みとなる訳でありますが、
私どもの想像以上に、皆様の御好評を得る事が出来ました。
来年もぜひ、このような形で開催したいと考えております――』
いつも長く感じられる校長先生の話も、
その後に続く表彰式の事を思うと、
早く終わってほしい気持ちと、
もう少し引っ張ってくれてもいいなっていう気持ちが、
あたしの心の中で、
複雑に交差しながら、行ったり来たりしていた。
『それでは表彰式に移りたいと思います。
入賞したクラスの指揮者はステージへ――』
ドキドキドキドキ――
“1位は、どのクラスだろうね!!”
“やっぱ2年の渋川のクラスだろ?!”
“アイツら一体どれだけ練習したンよ?!”
緊張の一瞬――
どこからか聞こえて来る話し声も、
校長が、再び口を開くと同時にピタリと止んだ――
『3位。3年1組の“翼をください”』
“キャアアァァァ―――ッッ”
“なんだよ。1位じゃねぇのかよ”
3年生の先輩達の声が響き渡る――
1位と2位の発表を前に、
会場は、すぐにシーンとなった――
『2位。3年6組。
“旅立ちの日に”』
“おぉ―――っっ!!”
“2位、3位と3年か。
はたして1位はぁ〜〜〜♪”
“やっぱ2年のアイツらじゃねーの?!”
ドキドキドキドキ――
発表された2位と3位の指揮者が、ステージで表彰され、
校長に一礼して、会場の御来賓の皆様にも一礼。
そして、ステージを下りて行く。
『それでは第1位――』
力は全て出し切った。
後悔する事なんて何もないもん。
シ――――ン―ー‐
さっきまでザワついていた会場中が、
静まり返った瞬間――
あたし達、2-3のクラス全員が息を呑んだ――
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