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劇団ドリームシアター(2)

[407] YOSI 2011-01-18投稿
「由美…ずいぶん思い切ったね…会社辞めちゃうなんて」
「しょうがないよ。好きになった人に恵まれてなかったんだよ。私…」
磯村由美と沼田えり子は、高校時代からの親友である。
由美は、大学を出て、商事会社に就職し、えり子は、体育推薦で大学に入ったものの、伸び悩み、親戚のつてで、工場の事務をしていた。
由美は、婚約間近だったのだが、プロジェクトリーダーの彼に、上役の令嬢との縁談が持ち上がり、自ら身を引いた。
「これからどうするの?」
「うん…学生時代アルバイトでやってたから、ファーストフード店でアルバイトをね」
「そっか…私は、今の仕事をしばらくやるかな。残念ながら周りは、結婚してるし、お孫さんもいらっしゃるし、出会いなんてないよ」
「いいんじゃない?もう30だけど、しばらく恋愛はいいよ。…なんかね、このまま生きがいってやつかな…それを見つけてみたいんだよね。
この年になって変だけどね。それがなんなのかわかんないんだけど…」
「ふーん…生きがいかあ。私はどうなんだろうなあ。大学で怪我して、伸び悩んで…考えなかったなあ。この数年間」
「簡単には見つからないよ。私だって、会社にいる頃は、プロジェクトが、本当に私の生きがいなのか、心の底では悩んでたよ。まあ…いきさつを、親に言ったら、渋々了承してくれたけどさ…」
「じゃあ、私も、その何かってやつ、見つけてみるかな…」
「うん…そうしよ。ただ、そのなかで、えり子が運命の人と出会ったら、祝福するよ」
「ありがと。…でも、由美が幸せつかまない限り、私も結婚しないよ」
「え〜、いいよ。気使わなくて」
「いいの。私が高校時代、勉強が出来なくて…ずっと教えてくれたじゃない。おかげで、体育推薦でも、大学行けたし…
お互い、現役で行けたし、あの時の恩返しってゆうか…由美に何か出来ることってこれくらいだからさ…」
「ありがと…」
「ねえ由美。来週の金曜日、夜開いてるかな?」
「え?うん、仕事は昼の3時までだから大丈夫だよ」
「じゃあ、気分転換に、お笑いライブ見にいこ。会社の人が急用で行けなくなって、何枚かもらったからさ…。一緒に行く人いないし」
「お笑いライブかあ〜。見たことないからなあ。いいよ」
「良かった。じゃあ来週ね」
2人は、しばらく話して別れた。

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