携帯小説!(PC版)

視線

[811] 香夜 2011-01-22投稿
最近、家で視線を感じるようになった。

私は一人暮らしだ。

それに、引っ越しや何か物(とり憑かれていそうな)を買ってもいない…そんな中、突然視線を感じるようになったのだ。

じーーーっと後ろからの視線、今も視線を感じていてはっきり言ってめちゃめちゃ怖い。それもその視線は外に出た途端感じなくなる。

人間か幽霊か、はたまたそれは私の自意識過剰による意識のしすぎか…。判断に困るところであった。

人間であっても嫌だし幽霊でも嫌…自意識過剰だとしたら、少々羞恥を覚えるが一番良い結果だと思う。

それから、気になって寝付けない日が続いたので私は家の隅から隅まで隠しカメラを設置し、1日家を空けることにした。(その間友人宅に泊まらせてもらう)

友人にこの事を話すと一緒にビデオカメラを見てくれると言ってくれた。

そして翌日───
友人と頑張って回収したビデオカメラを友人宅に持っていき、少し大きめなテレビに映し出した。

まずリビング全般が映っているカメラを見た。(隠しカメラは全部で5つぐらい仕掛けた)

さすがにじっくり見るわけにもいかないので早送りをしながら見ている──と、まさかのリビングで異常な物体を見つけた。

リビングの机の下から茶色の物体が出てきて、それはさっきからその場で右往左往している。

隣にいる友人もその様子を凝視していた。

しばらく早送りして見ていたがやはり事態が急変する事無く終わった。

次のビデオは和室(6畳間)が映し出された。

だがそれも何もない…。

それから全てのビデオを見たがリビングのビデオ以外何も起きなかった。

だが、リビングに映ったあれは何なのか…?実は私には少し見覚えがある。

私は立ち上がると友人にお礼を言い、車である場所へ行った。

そこは墓場である。さら歩くと動物を供養する墓に行き着いた。

墓の前で手を合わせて、すっかり忘れきっていた愛犬を思い出す。自然と涙がポロポロ落ちてくる。

あの茶色の物体は私が中学の時に飼っていた愛犬であったのだ。

高校の時に他界してしまってから忘れていた年1のお墓参り…。

きっと私の愛犬はお墓参りに来て欲しかったのだろうと思う。

実際、この日を境に視線を感じることもなくなった。

END

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