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教師恋愛中毒(7)

[977]  ハル  2005-12-16投稿
「椎矢!!」

今まさに校門を出て行こうとするななを呼び止める。
彼女が振り返る。

なのに僕は何も言えない。

虚しいくらい言葉が見つからない。

ななは首を傾げる。

「先生?何ですか?」

まだ何も言えない。
確信したわけじゃないから。

彼女が【虐待】にあってるんじゃないかという。

「き・・・気をつけて帰れよ。」
「?・・・はい。」

どうしようもない歯痒い気持ち。

職員室に戻った僕は彼女の家に電話をかけた。
3回目のコール音ですぐに女の人の声がした。

若い。

「はい?」
「高校でななさんの担任をしてます、な・・・。」
「ちょっと待って。なな呼ぶから。」
「いえあの・・・。」
「何です?」

僕は冷たい電話越しの女性の声に少し戸惑う。

「お母様でしょうか?」
「まー・・・どうだかしんないけど。そうじゃない?立場的に。」

とげのある口調。

「ななが何かしたんですか?」
「いえ、あの。」

聞いていいんだろうか。

「ななさんの身体にある傷の事なんですが・・・。」
「あぁ。あれ?あれは別に。あたしがやったんだけど、何か?」

あまりにもあっさりした言葉。

「あれはうちの育て方なんだから何も言わないでくれる?」
「・・・。」
「あたしも大変なのよ。アイツ、別にあたしのコドモじゃないしぃ。」
「失礼・・・しました。」

僕は次の言葉を聞くのが怖くて電話を切ってしまった。

受話器を置いた手が震えた。

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