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劇団ドリームシアター(4)

[431] YOSI 2011-01-31投稿
「美佳、このところどう?」
「全然だよ〜。やっぱ、30手前のホステスは厳しいよね?美樹は?」
「同じだよ〜。やっぱり、銀座のホステスの時は良かったねぇ〜。今じゃ、一般向けのこのクラブでも声かからないからなあ〜」
松尾美樹と、北山美佳は、短期大学の同期だった。
就職はしたものの、お互いの会社の人員整理にあい、退職していた。
再就職が決まらず、ホステスになったのだが、高級クラブでなかなか指名客がつかずに、予算3万程度のクラブに流れついていた。
「やっぱついてないなあ〜私。田舎に帰ろかな」
「あたしもそうだよ〜。でも美樹は、まだ簿記の資格があるからいいじゃん。私は一般職だったからなあ」
「それを活かしたくても、なかなかないんだよね。間に合ってますって言われるし…」
「そっかあ…。でも、ここも辞めなきゃいけないかもね…マネージャーがね、オーナーから言われたみたい。私達に指名客がつかないから、そろそろって…」
「きついなあ〜」
2人とも、ほとんど待合室にいることが多くなっていた。
そこへ、マネージャーの守口考太が2人を呼びにきた。
守口考太は、40代で新婚である。
会社では、給料が減ってしまい、しかたなく、兼業で、友人の店のマネージャーの1人として仕事をしていた。
「あの…サラさん
(美樹の源氏名)、茜さん(美佳の源氏名)、ご指名が入ってますが…」
「えっ?うそでしょう?私達に?」
「本当に?最近全くなかったのに…」
「ええ…是非とも2人にと…」
この店が、実年齢を公表する方針であることと、雰囲気的に再指名すらかからなかった2人にしてみたら、嬉しい反面、『どうして…』と思っていた。
「もの好きな人もいるんだね。美佳は、まだビュジュアル的に恵まれてるけど、私は…」
「…私が恵まれてる?そんなことないよ。…でも気になるねぇ。どんな人達なんだろ」
2人は、考太に言われるまま、指名客の待つテーブルに向かった。

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