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Kiss me!*17

[448] 玲唯 2011-02-02投稿


「ユキ……来てくれたんだ」


 ケイタはそう言いながら起き上がろうとした時、激しく咳き込みだした。


「起き上がんなくていいから、寝てなよ」

「……うん」


 風邪引いたんだ。


 でもただ寝てるだけで、頭を冷やすとかってことは何もしてない。


「熱、測った?」

「測ってない」

「体温計と氷枕、どこにあるの?」

「体温計は下の引き出しのどこかにある、かも。氷枕は……」


 小さい声でケイタが言うと、また咳き込み始めた。


 私は部屋を出て階段を下りて、リビングに向かった。


 言われたように引き出しを探していると、引き出しの奥に体温計があった。


 体温計を持って部屋に戻ろうとした時、棚に飾ってある写真立てが目に入った。


 小学生くらいの時のケイタと、その両隣にはケイタのお父さんとお母さんがいる。


 幸せそうに写っている家族写真がそこに沢山飾ってあった。


 あ、見とれてる場合じゃない!


 氷枕は冷凍庫の中。


 氷枕を取り出してタオルにくるむ。


 冷えピタもあったから、それも一緒に持って2階に上がった。


 *


「38度5ぶ……」


 完璧に風邪だ。


「薬飲んだ?」

「……飲んでない」

「何で飲まないの?! まったく……。ご飯は食べた?」

「……食べてない」

「食べなきゃダメじゃん。食べなきゃ薬飲めないんだよ」

「じゃ、何か作って?」


 何かって、何だ。お粥とか?


 勝手に作っちゃっていいのかな。


 でも食べさせないとなあ……。


 私はキッチンに向かった。


 *


「意外と、料理できるんだね」


 お粥の作り方はお母さんの見よう見まねだけど、なんとかそれらしいのができた。


 味は、悪くないはず。

 ってか……意外って。


「じゃ、薬飲んで寝なよ? 私帰るから」

「……いてくれないの?」

 そんなケイタの言葉に、私はドキッとしてケイタを見た。


「しょ、食器洗ってくる!」


 食器の乗ったお盆を持って、足早に部屋を出た。


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