携帯小説!(PC版)

約束

[276] 弥生 2011-02-04投稿
「指輪がいい。」
勝は「えっ?」と、言う表情で、私の様子を探る。 「で、また…指輪なの?」「ずっと今までね。付き合ってきた人に指輪なんてもらったこと無いの…勝ちゃんから指輪を貰えたら嬉しいと。正直に思って。だから…」「いつもプレゼント何がいいって聞いても。要らないとか、分かんないと言う実生だから。びっくりしたんだ。」「勝ちゃん指輪は薬指ではなくて。小指のピンキ―リングがいい」「あっ、そう。何でまた」「小指って約束を交わす指でしょ。指きりみたいに」「分かった。」


あれから何年経ったんだろう。今私の左小指にプラチナの指輪が輝いている…

[もしもし?勝ちゃん今何処?心配しているんだけど]朝から何度も連絡しても繋がらない携帯
何度も掛けても留守電


蒸し暑い 極度に息苦しい 大阪はこんなに湿度があるなんて思ってもいなかった… 俺。俺は息してんだ。感覚もある
現実から逃げてきた。逃げて逃げても追い掛けてくる
ずっと独りで生きてきた 親から離れ自由に。現実を受けとめるのが恐ろしくて。逃げ…た。ジ―パンのポケットに入った携帯が、何度も鼓動する… 実生だ…
俺、実生からも逃げてきた どうして良いのか分からず。彼女は嫌いでは無い 悪いことをしたと思っている ただ今は逃げたいんだ。 現実を受けとめられない自分が居て。しかし、今は現実だ大阪駅のホームで途方に暮れていた。

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