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幸運の女神-第二部 9

[460]  朝倉令  2006-09-08投稿


「ここって、す〜んごい忙しいんだねェ… あたし、リョージの事見直しちゃった」


「ヒナもーっ! 諒司さんって、さすがマネージャーって感じ?」


「いや、本当に大変なのは厨房の人達なんだ。
あ!チョーさん、水島さん、お疲れさまでーす!」



頭を下げた俺に、笑顔で手を振ってくる厨房スタッフ達。





「あ、ヒナここで降りまーす、コーちゃんが迎えに来てくれるみたいですから♪」


「じゃ、気をつけて」

「康介さんにヨロシク〜」



手を振って車を離れた小坂雛の姿が、ミラーの中でみるみる小さくなっていく。






「リョージ、…あのさぁ、今夜泊まってもいい?…」



俺(倉沢諒司)をチロッと見上げる様に、小声でささやいてきた品川恵利花。



「門限はいいのか?」


「うん、大丈夫…」



ちょっぴり照れくさそうに言うエリカを連れて、俺は自宅の借家に戻った。


安くて広いだけが取り柄みたいなボロ家だが、アパートと違って隣に気兼ねする事も少なく、気楽なものだ。



互いをいつくしむ様に優しく愛し合った後、俺たちは安らかな眠りに入っていった。






「あれ?… もう朝かよ」


俺は、部屋の中に満ちていた白い光のせいで、目覚めたようだ。



《ありがとう、この子を助けに来てくれて…》


「ん?エリカ何か言ったか」


声をかけた相手は、目を閉じたまま穏やかな寝息を立てている。


(じゃ、誰が?……)



寝呆けた頭に、再び先程の声が響いてきた。

耳で聞き取っていた訳ではなかったのだ。



《あたしは、…フローリアと申します。
 あなた方の言う女神って事になるかしら?》


「えぇーっ?め、女神さまってかい!」



俺は、少女の姿になりつつあった白い光に向かい、調子っ外れな声をぶつけていた。



 最近、常識外の出来事に縁のある俺は、じきに落ち着きを取り戻すと、女神フローリアの話に耳を傾けていった。






……耳で聴いてないだろ!のツッコミは無しだ。





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