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天使のすむ湖47

[432]  雪美  2006-09-08投稿
バラの花びら入浴で、リラックスした時間をすごした翌日の朝、朝食に行こうと、香里を優しく起こすと、頭が痛いと言い出し、そのまま気分悪そうにしていて顔は青ざめベットから起きられず、頭を起こそうとしたその時、嘔吐してしまった。
原因は脳腫瘍による脳圧が上がったためと思われる。俺は嘔吐するときがあると聞いてはいたが、はじめて遭遇しうろたえてしまい、キヨさんを呼んで後処理の仕方を教えてもらいながら、主治医の大木先生に電話をした。
香里の顔や体をよく拭き、着替えをした。
なぜか香里の六畳もある大きなクローゼットの中には服もネグリジェも白い色ばかりである、どうしてなのかはわからないが、本人が好きな色なのだろうと思っていた。
十五分ほどして、大木先生がかけつけ、診察をしてくれ、食事は無理そうなので、点滴がされた。リビングに場所を移して、先生からは、脳圧が上がっていること、そして右側が利かなくなる障害がこれからでるであろうこと、言語障害が出てくる可能性の説明を前回のMRIの検査結果を話してくれた。そして、医師からはここのままでは、大変だから病院への入院を勧められた。俺はすぐには返事は出来ないから、よく考えさせてほしいとだけ答えた。
香里はここでの生活の中での看取りを希望している。俺に対応しきれるだろうか、キヨさんや岬が協力してくれたとしても、右の行動障害と言語障害を突きつけられたとき、それでもここでいいのだろうかと、考え込んでしまった。そこで、催眠療法でお世話になった柏原先生に相談の電話をしてみることにした。

柏原先生は、二人にとってどこが一番良いかは、話し合いを出来るうちにもう一度してほしいと言われた。ただ治る見込みがないなら、どこも同じだよと先生は付け足して言った。それから入浴については、体温37.5℃以下なら大丈夫だよと言われた。

しかし、今日は青ざめた香里を見ていたら、とても言う気にはなれず、また調子の良いときを見て話すことにした。

俺に何が出来るのか、本当に自宅で医療も十分受けられない環境で良いのか、答えが見つからず、香里の手を握ったまま考え込んでいた。
点滴の針が痛々しく、まだ俺は昨日の入浴が響いたのかなと、気に病んでいた。二人の時間を大切にしたいなら確かにここが一番だけれど・・・
部屋には、汚物のすえた匂いがかすかにしていた。


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