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たった一つの物語「生きる」

[583] 桃子 2011-02-13投稿
おい!
オッサン遅いぞ
バカじゃねぇのか!

夜の繁華街のコンビニでレジをうつパパは新人の上に不器用で
お客から罵声を浴びる

パパは必死に謝りながらアタフタと頑張る


私はいつも心配で
コンビニにパパの様子を見に来る


パパは昼間は警備員で
夜はコンビニのバイトをするフリーター


私は涙が溢れる

ごめんなさいパパ
私が健康な身体なら
パパは前のように
カッコいい
スーツを着こなし
部下を従えて働けてたのに…


私の多額の手術代金のためにパパは仕事で焦り
無実なのに
横領の汚名を着せられ
クビになった


ごめんなさい
ごめんなさい
パパに辛い思いさせて


私なんて
生まれてこなきゃあ
良かった

暗い思いで家路に着くとママが笑顔で迎えてくれる

小さい(小学二年)私の頭を撫でて優しく抱きしめていってくれる


『慣れない頭を下げて
フリーターしてる
パパって素敵やなぁ』


そういうママも
一度も働いたことなんてなかったのに
昼は保険外交員で
夜は料亭のお運びさんをしている


ママもパパのように
怒鳴られてるのかなぁ


…ごめんなさい…

そう思うと
また涙が溢れてきた


ママは優しく
私に語りかけてくれる

『怒鳴られてたら
カッコ悪くて
前(職場)のパパが
カッコいいんとは
違うんよ!

要は一生懸命真面目に生きることができるのか
なのよ

だから桃子は今
自分にとって
一生懸命真面目に生きるとことは
辛い治療を頑張ることなのよ』

そう話すママも
また泣いていた


私は私を頑張ろう!

また痛み(治療)に
耐える勇気が
満ち溢れてきた!!

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