君とすごした日-15
「ふぅーっ…」
やっと残業が終わり、大きく息をついて帰りを急ぐ。
今日は週末で彼女が泊まっていく日だ。
アパートの玄関を開けると、もう彼女は御飯の仕度を終えるところだった。
「ただいま。」
「おかえり。」
「優子、明日何も予定ないよね?」
「うん。どうして?」
「はい、これ!!」
「何…?」
僕が手渡した封筒を開けた優子は、
「うわーっ!!」と大はしゃぎした。
『久保田利伸 全国ツアー・名古屋公演』
「えぇっ! 明日!?」
「うん、プチサプライズ」
僕がそう言い終わる前に、彼女は僕に抱き着いてきた。
翌日、僕達二人はライブに出掛けた。
往きの車の中からテンションは上がりっぱなしで、
「この曲唄うかなぁ?」
「これも聴きたいよね」
「やっぱりあの曲はやるよね?」と、あれこれ言い合った。
ライブも終盤に差し掛かり、全ての照明が落ちた…
暗闇の中で、静かに『Missing』のイントロが流れた。 それまで一緒に歌い一緒に弾み一緒に体を揺らした観衆が、一瞬で静寂につつまれた。
1万人を越える人の中で、その時は確かに二人だけの世界だった。
僕達はどちらからともなく手を繋いでいた。
自分でも気付かぬ内に、一筋の涙が頬を伝った。
彼女を見ると、
優子もまた同じように涙を流していた。
繋いでいた手をそっと外し後ろから彼女の頭に回すと、彼女は何も言わずに僕の肩に額を押し当てた。
やっと残業が終わり、大きく息をついて帰りを急ぐ。
今日は週末で彼女が泊まっていく日だ。
アパートの玄関を開けると、もう彼女は御飯の仕度を終えるところだった。
「ただいま。」
「おかえり。」
「優子、明日何も予定ないよね?」
「うん。どうして?」
「はい、これ!!」
「何…?」
僕が手渡した封筒を開けた優子は、
「うわーっ!!」と大はしゃぎした。
『久保田利伸 全国ツアー・名古屋公演』
「えぇっ! 明日!?」
「うん、プチサプライズ」
僕がそう言い終わる前に、彼女は僕に抱き着いてきた。
翌日、僕達二人はライブに出掛けた。
往きの車の中からテンションは上がりっぱなしで、
「この曲唄うかなぁ?」
「これも聴きたいよね」
「やっぱりあの曲はやるよね?」と、あれこれ言い合った。
ライブも終盤に差し掛かり、全ての照明が落ちた…
暗闇の中で、静かに『Missing』のイントロが流れた。 それまで一緒に歌い一緒に弾み一緒に体を揺らした観衆が、一瞬で静寂につつまれた。
1万人を越える人の中で、その時は確かに二人だけの世界だった。
僕達はどちらからともなく手を繋いでいた。
自分でも気付かぬ内に、一筋の涙が頬を伝った。
彼女を見ると、
優子もまた同じように涙を流していた。
繋いでいた手をそっと外し後ろから彼女の頭に回すと、彼女は何も言わずに僕の肩に額を押し当てた。
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