Kiss me!*22
「何か最近静かだよねえ」
「そお?」
ナナミはお弁当を食べながらそう呟いた。
「ケイタくん、全然顔出さないからさあ」
確かにここ最近、ケイタは私たちの教室に来ることや話すことがなくなった。
天野さんはケイタに告るために、自分をアピールしてる真っ最中なんだと思う。
まあでも、私にとっては好都合なんだ。
登下校はやっと一人で帰れるし、昼休みは静かに過ごせるし。
うるさい人がいなくなってくれて、よかった。
うん、よかった。
「ユキ、寂しいんじゃない? ケイタくん来なくて」
「そ、そんなわけないでしょ! 別に寂しくないし」
寂しくないけど、胸がきゅうって締めつけられるんだ。
何でなんだろう。
*
放課後、私は一人玄関に向かっていた。
あの2人の姿を見ないうちに帰ろう。
そう思いながら靴をはきかえようとした。
「あ、ユキじゃん!」
突然後ろから声が聞こえてきて、私はびっくりして振り向いた。
そこにいたのは、ケイタだった。
会いたくなかったのに。
でも天野さんの姿がなかったから、少しはましだった。
「何かユキに会ったの久々だね」
そう言いながらケイタはにっこり笑った。
その笑顔を見た瞬間、私の心臓が小さく跳ねる。
何だか、目が合わせられない。
「あ、福崎くんいた!」
パタパタと足音が聞こえてきかと思うと、現れたのは天野さんだった。
天野さんは私を見ると少し固まって、それからケイタの方を見た。
「福崎くん、一緒に帰ろ?」
天野さんの言葉を聞いて、私はすぐに思った。
ここに居ちゃいけない。立ち去らなくちゃ。
「ちょっとユキ! 待ってよ!」
早足で玄関を出て行く私をケイタが追いかけてきた。
そして校庭に入るとこに来たとき、私は腕を掴まれた。
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