Kiss me!*24
ちゃんと伝わってるか分からないけど、私が言う言葉にナナミは相槌をうちながら聞いてくれた。
初めてケイタに会った時のこと。ネックレスを貰ったこと。ケイタが風邪を引いた時のこと。
そして、天野さんのこと。
全部話終わった時、ナナミは少し黙った後に静かに言った。
「そっか。だから最近ユキ元気なかったんだね」
元気ないように見えてたんだ……。
「天野さんの告白が上手くいくように、気を遣ってたんでしょ?」
「うん」
「でも2人を見るたび、胸が苦しくなるって言ったよね?」
「うん……」
「それって、ユキはケイタくんのこと好きだからだと思うよ」
「私が、ケイタを?」
だからケイタの言葉にドキドキしたり、胸が苦しくなったりしたの?
今までそんな気持ちは好きってことじゃないって思ってきた。
でも違ったんだね。
「最初は嫌いでも、いつの間にか好きになることってあるから」
「そっか……」
「もう気を遣わなくていいんじゃない? ユキも自分の気持ち伝えなきゃ」
「気持ちを伝える、か……」
今までケイタにキツく当たっておいて、本当は好きだったなんて伝えるっていい加減なんじゃないかって思う。
でも伝えないと、私のこの胸の苦しみが消えないような気がした。
「ナナミ、私……」
「行ってきなよ」
「うん」
私はケイタを探しに、走って教室から出た。
*
今は放課後だからケイタは部活なんだろう。
でももうすぐ終わる時間だから部室の方に行けば会える。
渡り廊下を渡っているときふとガラスから外を見ると、丁度部室から出てくるケイタの姿が見えた。
するとそこに天野さんが駆け寄ってきて、ケイタに何か言っている。
でもそれからしばらく黙り込んで、手をもじもじ動かす。
そして天野さんが何か言ったかと思うと、天野さんはケイタに抱きついた。
頭が真っ白になって、私はその場から走り去った。
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