【桜花〜Act.3 ウサ】
庄司とは新大阪の駅で出会った。
昨晩は羽島の積雪の影響で新幹線は全線遅延していた。
「あいつの店,間に合うかなー。毎年の事ながら早く閉めてそうだな。」
私たちは同じホームの同じ乗降口で待っていた。
あのホームには私たち以外誰も待っていなかった。
「すごい雪ですね」
つい話し掛けてしまったのは私の方だった。
「僕ね,今日ハワイから帰国したの。今年は暖冬じゃないのかなー。寒いの苦手でねー」
庄司はひたすら自分の話ばかりで,私がどうしてここに独りで居るのか,何をしに来たのか,これからどこに行くのか,全く聞こうとしなかった。
ただそれが今の私には救いで,庄司の屈託のない笑顔とマシンガントークに私のテンションも上がった。
「お前の名前…ウサって読むの?今時らしい珍しい名前だなー」
「…うん,カワイイでしょ。タクちゃんは名字も名前みたいだね。」
その場の勢いで「タクちゃんのこれから行く店に行きたい」と言った時に,私の住まいが庄司の隣町であった事が発覚して,また盛り上がった。
「ウサ,もう少しで着くぞ」
「タクちゃん楽しみー超楽しみ!」
そうして"あの大将"のお店に行き着いた。
"ウサ"
「ん…」
気が付くと桐谷先生のベッドに横たわっていた。
化粧は落としてあり,桐谷先生の部屋着に着替えてある。
自分でやった記憶はないが,桐谷先生の家に泊まるとよくある事である。
「起きたわね。今日は27日よー。今年もあと3日に迫って来たわ!」
桐谷先生はフンと息を荒くしながらエプロンを着けている。
「今,何時…?まだ8時じゃん…」
私はまた布団に潜って,昨晩の庄司の言葉を思い出していた。
−カズトトワタシハホントウニアイシアッテイタノダロウカ−
30日になるまで,私は庄司の言葉を反芻しては独り葛藤していた。
30日は17時に仕事を終え,お腹が空いていたこともあって,19時半には家を出て大将の店に向かっていた。
昨晩は羽島の積雪の影響で新幹線は全線遅延していた。
「あいつの店,間に合うかなー。毎年の事ながら早く閉めてそうだな。」
私たちは同じホームの同じ乗降口で待っていた。
あのホームには私たち以外誰も待っていなかった。
「すごい雪ですね」
つい話し掛けてしまったのは私の方だった。
「僕ね,今日ハワイから帰国したの。今年は暖冬じゃないのかなー。寒いの苦手でねー」
庄司はひたすら自分の話ばかりで,私がどうしてここに独りで居るのか,何をしに来たのか,これからどこに行くのか,全く聞こうとしなかった。
ただそれが今の私には救いで,庄司の屈託のない笑顔とマシンガントークに私のテンションも上がった。
「お前の名前…ウサって読むの?今時らしい珍しい名前だなー」
「…うん,カワイイでしょ。タクちゃんは名字も名前みたいだね。」
その場の勢いで「タクちゃんのこれから行く店に行きたい」と言った時に,私の住まいが庄司の隣町であった事が発覚して,また盛り上がった。
「ウサ,もう少しで着くぞ」
「タクちゃん楽しみー超楽しみ!」
そうして"あの大将"のお店に行き着いた。
"ウサ"
「ん…」
気が付くと桐谷先生のベッドに横たわっていた。
化粧は落としてあり,桐谷先生の部屋着に着替えてある。
自分でやった記憶はないが,桐谷先生の家に泊まるとよくある事である。
「起きたわね。今日は27日よー。今年もあと3日に迫って来たわ!」
桐谷先生はフンと息を荒くしながらエプロンを着けている。
「今,何時…?まだ8時じゃん…」
私はまた布団に潜って,昨晩の庄司の言葉を思い出していた。
−カズトトワタシハホントウニアイシアッテイタノダロウカ−
30日になるまで,私は庄司の言葉を反芻しては独り葛藤していた。
30日は17時に仕事を終え,お腹が空いていたこともあって,19時半には家を出て大将の店に向かっていた。
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