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奈央と出会えたから。<425>

[460] 麻呂 2011-04-10投稿

クリスマスの日。


あたしの願いも叶い、


その日は、ちゃんとホワイトクリスマスになり――



『奈央。鷄の唐揚げ、たくさん揚げたから、たくさん持って行ってあげなさい。』



『うん。ありがとう。お母さん。』



母は、今日は、お弁当屋さんのお仕事がお休みという事もあり、



オードブル作りを手伝ってくれた。



『揚げ物は、お母さんがいない時に、絶対しちゃダメよ。

危ないからね。』



『うん。』



あたしが、クリスマスにオードブルを手作りするって言ったから、



母は手伝ってくれる為に、お休みをもらったんだ。



たぶん。



ううん。きっとそう。



『いいわねぇ。

去年は、うちにみなさんをお呼びしたけど、今年は聖人君のお家に集まるんでしょ?』



『そうだよ。また去年のメンバーなんだ。』



でも今年は“二人きりで”とは、

さすがに言えなかった。



だから、出来上がったオードブルを盛りつける時も、量がハンパじゃなかった。



う゛ぅ‥‥こんなにたくさん持って行ったら‥‥聖人びっくりするだろうな。



『お母さん。夜のお仕事もお休みだよね?』



『そうよ。クリスマスの夜くらい、奈央とゆっくり過ごしたいもの。』



そうよね。毎年、クリスマスの夜は、母と一緒にケーキを食べるのがお決まりだもの。



お母さんには――



『お母さんは、聖人のお父さんのコト、好きじゃないの?!』



『‥‥ちょっと‥‥奈央!!何を言い出すの突然!!』



自分の気持ちに正直になってほしい――



『前にも言ったけど、いい方よ。とても。』



『そういうコトじゃなくて。

恋愛感情のコトよ!!』



あたしの為に、母が気持ちを抑えてるのだとしたら、



そんなの、



あたしは嫌だもん。

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