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アイの実はどんな味?6

[303] 萩原実衣 2011-04-22投稿
デカ女は、いつものように淡々とスタジオに入ってきた。

「社長 どうですか?スポンサーに連絡入れますか?」

やっぱり…RIONA とは…信じがたい。

「秦くん、あなた この後時間ある?」
「あっ、はい」
「呑みに行きましょ。織あなたも一緒に付き合ってよ」

「いえ…。私は…」
「たまには、いいじゃない!ねっ!」
「わかりました」

俺たち三人は、普通の居酒屋に入った。
でも、さすが社長クラスは、奥の個室に通された。

他愛のない会話が続き、猛烈な誘いのあらし。
が…オレも断り続けた。
その時、社長が真剣な面持ちで話しだした。

「秦くん。写真集見たんだって?RIONAの。」
「あっ…は、はい」
まずい…。気まずい!!
デカ女は、表情変えずに酒を呑んでいた。

「この織が、RIONAには見えないもんねぇ。この子なんで、別人に見えるか?わかる?」
「…」
「心が空っぽだからよ。今やナンバーワンの社長秘書だけど、それは事務的な仕事だからよ。もっと輝いていたの!あの事がなければ…。」

「社長…その話は…。」
「そうね。でも、あなたにもう一度輝いた姿を見たいのよ。そろそろ、その時よ。あなたは、天性のモデルなの!自分でもわかっているはずよ!」
社長は、熱く語り、俺の存在を完璧に忘れてデカ女を口説いていた。

社長が…絶好調になった時に彼氏?からの電話で俺たちを残して帰ってしまった。
「もう少し…。呑む?」
デカ女のほっとした表情が可愛くみえてしまって、思わずOKしてしまった。
すぐに 我にかえったが。
「村上くん。あなたは、物凄い人を惹き付ける眼と指定された人物に成りきれる力がある。今日の写真をみて自分じゃないと思ったでしょ?」

「はい」

「これからもっと変わるわ。社長は、あなたの秘めた力がみたくて、あんか課題をだしたのよ」

「私は、燃えつきちゃったのかもしれない。仕事も私生活も?」

俺は、あえて何も聞かなかった、しかし、気になって仕方がなかった。

また、自分をこんなにも評価してくれる事は、本当にうれしかった。

街中で怒鳴るデカ女が何だか、普通の女に思えてきた。
俺の心は、いろんな形で変わっていった。

1週間後、コンビニに寄って俺は、唖然とした。
雑誌の表紙に写っていたのは、俺 だった。
何故だ!!なんでだ?
恥ずかしくてコンビニを飛び出した。

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