携帯小説!(PC版)

オバケ4

[415]  はこもの  2006-09-10投稿
僕はいつもの居酒屋で、初めて日本酒と焼き魚を一緒に注文した。

「最高だろ?」オバケが言った。

「美味い」僕は言った。「だけど最高じゃない。マネじゃダメって事かな。自分で色々やってみないとダメなんだ」

「でも今の世の中に模倣じゃないモノなんてない。違うかい?一見、完全なオリジナルでも、それは時の偉人の模倣の延長線上にあったり、あるいは、過去の自分の模倣さ。現代に起こる全ての事柄は誰かのマネ事にすぎない。自分で色々やってみるのは良い事だとは思うけどね」

全部マネ事?それは間違ってるよ、とオバケに言いたかったが、彼の言っている事はたぶん正しい。

でも、これを正しいと認める思考も、誰かの猿まねにすぎないんだ、僕の脳みそが僕に言った。

骨だけになってしまった、焼かれた哀れな魚は、少し笑ってるような気がした。そして、グラスの底に溜まった日本酒は、何か間違っていて汚らわしい液体に見えた。

「なんか淋し過ぎないか?」僕は言った。

「ああ」オバケは答えた。

感想

  • 3655: 初・続き物ですね!久々に覗いてみたら大好きなはこものさんが新しいの書いてたのでテンション上がりました(*^□^*)これからも応援してます! [2011-01-16]
  • 3659: 不定期になるかもしれませんが、バンバン書いていくんでよろしくお願いします。:はこもの [2011-01-16]

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